本稿では、グロース企業のマーケティング責任者の方々に向けて、SEO対策で継続的に成果を出すための実践的な運用方法と、効果的なチーム・体制構築について解説します。SEO対策の「やり方」だけでなく、その後の運用と組織づくりまで踏み込んだ、包括的なガイドです。
SEO対策は「やり方」を知るだけでは不十分? 継続的な成果のために
なぜSEO対策の効果測定と改善が重要なのか
SEO対策は、一度施策を実行すれば終わりというものではありません。検索エンジンのアルゴリズムは常に変動しており、ユーザーのニーズや競合サイトの状況も変化します。そのため、SEO対策の効果を定期的に測定し、その結果に基づいて改善を続けることが、継続的な成果を出すためには不可欠です。
効果測定を行うことで、以下のようなメリットがあります。
- 施策の効果を可視化できる
どの施策が効果的だったのか、どの施策に改善の余地があるのかを把握できます。具体的な数値データに基づいて施策を評価することで、主観的な判断に陥らず、客観的な視点から改善策を検討できます。 - 問題点を早期に発見できる
順位が下がってきた、アクセス数が伸び悩んでいるなど、問題点を早期に発見し、迅速に対応できます。問題が深刻化する前に対応することで、損失を最小限に抑え、より効果的な対策を講じることができます。 - より効果的な戦略を立案できる
効果測定の結果を分析することで、今後のSEO戦略をより効果的なものに改善できます。成功した施策はさらに強化し、効果の薄かった施策は改善または中止するなど、データに基づいた戦略の見直しが可能になります。
内製と外注、それぞれのメリット・デメリット再考

SEO対策を内製で行うか、外注するかは、多くの企業が悩むポイントです。それぞれのメリット・デメリットを改めて確認し、自社の状況に合わせて最適な体制を構築しましょう。
内製のメリット
- ノウハウが社内に蓄積される
SEO対策の知識や経験が社内に蓄積され、長期的な競争優位性につながります。担当者が直接業務に携わることで、SEO対策のスキル向上も期待できます。 - 自社のビジネスや顧客を深く理解した対策ができる
自社の製品やサービス、ターゲット顧客を深く理解しているため、より効果的なキーワード選定やコンテンツ制作が可能です。外部に委託する場合に発生する、情報伝達のロスや認識の齟齬を防ぐことができます。 - 外部との連携コストがかからない
社内で完結するため、外部の業者とのやり取りや調整にかかる時間や手間を削減できます。意思決定のスピードも速く、変化に柔軟に対応できます。
内製のデメリット
- 専門知識を持つ人材の育成・採用が必要
SEO対策には専門的な知識やスキルが必要なため、担当者を育成するか、専門知識を持つ人材を採用する必要があります。人材育成には時間とコストがかかり、採用も容易ではありません。 - 担当者の負担が大きくなりやすい
SEO対策は多岐にわたる業務を含むため、担当者の負担が大きくなり、他の業務との兼務が難しくなる場合があります。 - 一定の成果が出るまでに時間がかかる
SEO対策は効果が出るまでに時間がかかるため、長期的な視点で取り組む必要があります。
外注のメリット
- 専門的な知識やノウハウを持つプロに任せられる
SEO対策の専門家である外部業者に委託することで、高度な知識やノウハウを活用できます。自社に専門人材がいない場合でも、質の高いSEO対策が期待できます。 - 最新のSEOトレンドに対応した施策が期待できる
SEOの専門業者は、常に最新のSEOトレンドや検索エンジンのアルゴリズム変動を把握しており、それらに対応した施策を提供できます。 - 社内リソースをコア業務に集中できる
SEO対策を外部に委託することで、社員は自社のコア業務に集中できます。リソース不足に悩む企業や、複数の事業を展開しており、SEOに専門的なリソースを割けない企業に適しています。
外注のデメリット
- 費用がかかる
外注には費用がかかります。SEO対策の範囲や内容、業者の料金体系によって費用は大きく変動するため、予算に合わせて適切な業者を選ぶ必要があります。 - 自社の意図が伝わりにくい場合がある
外注先に自社のビジネスや顧客を十分に理解してもらう必要があるため、密なコミュニケーションが不可欠です。しかし、コミュニケーション不足や認識のずれによって、期待した成果が得られない場合があります。 - ノウハウが社内に蓄積されにくい
SEO対策のノウハウが社内に蓄積されにくいため、長期的な視点では、内製化の方がコスト効率が良い場合もあります。
成果を出すチーム・体制に必要な要素とは
SEO対策で継続的に成果を出すためには、以下の要素が重要となります。
- 明確な目標設定
KGI(重要目標達成指標)、KPI(重要業績評価指標)を具体的に設定し、チーム全体で共有する。目標設定は、チームの方向性を定め、メンバーのモチベーションを高めるために不可欠です。 - 役割分担
SEOの各業務(キーワード調査、コンテンツ制作、サイト改善など)において、チームメンバーの役割と責任を明確にする。各メンバーが自分の役割に集中することで、効率的に作業を進めることができます。 - 社内コミュニケーション
チーム内の情報共有を密にし、進捗状況や課題を共有する。定期的なミーティングやチャットツールなどを活用し、スムーズなコミュニケーションを促進します。 - PDCAサイクル
効果測定に基づいた改善策を実行し、PDCAサイクルを回すことで、継続的に成果を向上させる。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の各段階を意識し、効果的なSEO対策を実現します。 - 最新情報のキャッチアップ
SEOの最新トレンドや検索エンジンのアルゴリズム変動に常にアンテナを張り、チーム全体で知識を共有する。変化の激しいSEOの世界で成果を出し続けるためには、常に最新情報を学び続けることが不可欠です。
SEO対策の効果を正しく測り、改善に繋げる方法
SEO対策の効果を測定し、改善に繋げるための具体的な方法を解説します。
設定すべきKPIとその計測方法(ツール活用)
SEO対策のKPI(重要業績評価指標)は、施策の目的によって異なりますが、一般的には以下のようなものが挙げられます。
- 検索順位
特定のキーワードで、自社サイトのページが検索結果の何位に表示されているか。これは、SEO対策の最も基本的な指標であり、目標キーワードにおけるWebサイトの掲載順位を把握することで、SEO施策の効果を直接的に評価できます。- 計測方法: 順位計測ツール(GRC、Rank Trackerなど)
- セッション数
検索エンジンからの流入によって、自社サイトにどれくらいのユーザーが訪れたか。検索エンジンからの流入数を把握することで、SEO施策による集客効果を測定できます。- 計測方法: Google Analytics
- コンバージョン率
検索エンジンからの流入ユーザーのうち、どれくらいの割合が成果(商品購入、問い合わせなど)につながったか。コンバージョン率は、SEO施策がビジネス目標にどれだけ貢献しているかを測る重要な指標です。- 計測方法: Google Analytics、各MAツール
- クリック率(CTR)
検索結果に表示された自社サイトのページが、どれくらいの割合でクリックされたか。CTRは、検索結果におけるWebサイトのタイトルや説明文の魅力を測る指標となります。- 計測方法: Google Search Console
- 被リンク数
他のWebサイトから、自社サイトへのリンクがどれくらいあるか。被リンク数は、Webサイトの信頼性や権威性を測る指標であり、SEOにおいて重要な役割を果たします。- 計測方法: 被リンク分析ツール(Ahrefs、Semrushなど)
これらのKPIを定期的に計測し、目標との達成度を把握することで、施策の効果を評価できます。
レポーティング:成果を分かりやすく伝え、次のアクションへ
効果測定の結果は、関係者に分かりやすく報告することが重要です。報告の目的は、関係者にSEO施策の成果を理解してもらい、今後のアクションにつなげてもらうことです。
- ターゲットに合わせた報告
経営層には、売上やROIなど、ビジネス全体への影響を強調した報告を、Web担当者には、具体的な改善点やネクストアクションを提示した詳細な報告を行う。報告の相手によって、重視するポイントや必要な情報は異なります。 - 視覚的な表現
グラフや表を用いて、データを分かりやすく提示する。数値データを羅列するだけでなく、視覚的に分かりやすく表現することで、関係者の理解を助け、報告内容への関心を高めることができます。 - ストーリー性
施策の背景、実施内容、成果、今後の展望などをストーリー立てて説明することで、関係者の理解と共感を深める。単に結果を報告するだけでなく、ストーリーとして伝えることで、報告内容が記憶に残りやすくなり、次のアクションへの意欲を高める効果も期待できます。
データに基づいたリライト・改善サイクルの回し方
効果測定の結果から得られたデータに基づき、コンテンツのリライトやサイトの改善を行います。このプロセスを継続的に繰り返すことで、SEO対策の効果を最大化できます。
- リライト
検索順位が低い、直帰率が高いなどの問題があるページは、内容の見直し、構成の改善、キーワードの再選定などを行い、再度公開する。リライトは、既存のコンテンツを改善し、SEO効果を高めるための重要な施策です。 - サイト改善
サイト全体の構成、内部リンク構造、表示速度などを改善し、ユーザーエクスペリエンスを高める。ユーザーにとって使いやすいWebサイトは、検索エンジンからの評価も高まりやすく、SEO効果が期待できます。 - 新たな施策の実行
効果測定の結果や、最新のSEOトレンドを踏まえ、新たなキーワード戦略、コンテンツ企画などを立案し、実行する。SEO対策は常に変化していくため、最新のトレンドを把握し、柔軟に戦略を修正していく必要があります。
これらの施策を実行した後も、効果測定を継続し、改善サイクルを回し続けることが、SEO対策の成功につながります。
自社に最適なSEO対策の実行体制を構築する
SEO対策を成功させるためには、自社の状況に合わせた最適な実行体制を構築することが重要です。
内製化を進める場合のステップと人材育成
SEO対策を内製化する場合は、以下のステップで進めるのが一般的です。
- SEO担当者の配置:
SEOの専門知識を持つ人材を社内に配置する(採用または育成)。SEO対策を効果的に行うためには、専門的な知識を持つ人材が不可欠です。 - チームの立ち上げ:
SEO担当者を中心に、コンテンツ制作、Webサイト制作、マーケティングなど、関連部署のメンバーを集めたチームを立ち上げる。SEO対策は、Webサイト全体に関わる施策であるため、様々な分野の専門家が協力する必要があります。 - 知識・ノウハウの蓄積:
SEOに関する書籍、Webサイト、セミナーなどを活用し、チーム全体の知識レベルを向上させる。SEOの知識は常にアップデートが必要なため、チーム全体で学び続ける文化を醸成することが重要です。 - ツール導入:
SEO対策に必要なツール(キーワード調査ツール、順位計測ツール、アクセス解析ツールなど)を導入する。効率的にSEO対策を行うためには、適切なツールの導入が不可欠です。 - 体制の強化:
チームメンバーの専門性を高めるための研修や、外部コンサルタントによる指導などを検討する。必要に応じて、外部の専門家の力を借りることも検討しましょう。
失敗しない外注パートナーの選び方と付き合い方
SEO対策を外注する場合は、以下の点に注意してパートナーを選びましょう。
- 実績と専門性
自社の業界やWebサイトの規模に合った実績があるか、特定の分野に強みを持っているかなどを確認する。外注先の得意分野と自社のニーズが合致しているかを見極めることが重要です。 - 提案内容
費用だけでなく、具体的な施策内容や、期待できる効果などを提示してくれるかを確認する。単に費用が安いだけでなく、どのような施策を行い、どのような成果が期待できるのかを具体的に提示してくれる業者を選びましょう。 - コミュニケーション頻度
担当者の対応が丁寧で、こちらの意図を正確に理解してくれるか、定期的な報告や相談に応じてくれるかなどを確認する。外注先との円滑なコミュニケーションは、プロジェクトを成功させるための重要な要素です。 - 契約内容
契約期間、費用、支払い条件、成果の定義などを明確に定め、後々のトラブルを防ぐ。契約書は、双方の権利と義務を明確にするための重要な書類です。
外注先との付き合い方としては、特に以下の点が重要です。
- 密なコミュニケーション
定期的なミーティングや、チャットツールなどを活用し、密なコミュニケーションを心がける。進捗状況や課題を共有し、認識のずれを防ぎます。 - 情報共有
自社のビジネスや顧客に関する情報を積極的に共有し、外注先がより効果的な施策を行えるようにサポートする。外注先が自社のビジネスを深く理解することで、より効果的なSEO対策が期待できます。 - 成果の評価とフィードバック
定期的に成果を評価し、改善点や要望を具体的に伝える。外注先からの報告を鵜呑みにするのではなく、自社でもデータを確認し、客観的な評価を行うことが重要です。
マーケター・エンジニア・コンテンツ制作者間の連携強化
SEO対策は、マーケターだけでなく、エンジニアやコンテンツ制作者など、様々な職種のメンバーが関わる共同作業です。それぞれの専門性を活かし、連携を強化することで、より大きな成果を期待できます。
- マーケター
SEO戦略の立案、キーワード選定、効果測定など、SEO対策全体の方向性を決定する。マーケターは、SEO対策の全体像を把握し、各部署に必要な指示を出す役割を担います。 - エンジニア
Webサイトの構造改善、表示速度の向上、モバイルフレンドリー対応など、テクニカルな側面からSEO対策をサポートする。エンジニアの協力は、SEO対策の土台となるWebサイトの技術的な問題を解決するために不可欠です。 - コンテンツ制作者
ユーザーのニーズに応える高品質なコンテンツを制作する。コンテンツ制作者は、SEOキーワードを自然に盛り込みつつ、読者にとって有益で魅力的なコンテンツを作成する役割を担います。
これらのメンバーが、それぞれの役割を理解し、協力して作業を進めることで、SEO対策の効果を最大化できます。
SEO最新トレンドへの対策と応用:AIの未来を見据えよう

SEOのトレンドは常に変化しています。最新のトレンドを把握し、自社のSEO戦略に柔軟に取り入れることが重要です。
AIはSEO対策をどう変えるか? 賢い活用法と注意点
AI技術は、SEO対策の様々な分野で活用され始めています。
- コンテンツ生成
AIが記事の草案や、商品説明文などを自動生成する。これにより、コンテンツ制作の効率化が期待できます。複数のライターを入れてしまうとトンマナの調整や制作管理が大変なので、ディレクター1人だけで企画→執筆→編集→入稿までできるようになる点では非常に魅力的です。 - キーワード調査
AIが、より精度の高いキーワード候補を提案する。AIを活用して大量のデータを分析し、結果を要約させることで、マンパワーでは難しいキーワード整理・提案の母数を拡大できる可能性があります。 - サイト分析
AIが、サイトの構造的な問題や、改善点を自動的に検出する。AIによる自動診断で、SEO上の問題を迅速に発見し、レポートの要約や優先的な改善タスクの提案など、効果的な改善につなげることができます。
これらの技術を適切に活用することで、SEO対策の効率化や高度化が期待できます。
ただし、AIが生成するコンテンツは、必ずしも高品質とは限らないため、まだまだ人間の手による編集・監修が不可欠です。また、AIに頼りすぎるのではなく、人間の創造性や洞察力を活かしたSEO戦略を立てることが重要になります。AIはあくまでツールとして活用し、最終的な判断は人間が行うべきでしょう。
動画SEO、音声検索など、注目すべき新潮流への対応
近年、動画コンテンツの需要増加や、スマートスピーカーの普及に伴い、動画SEOや音声検索への対応も重要性を増しています。
- 動画SEO
YouTubeなどの動画プラットフォームで、自社の動画コンテンツを上位表示させるための施策。動画コンテンツは、視覚的に情報を伝えやすく、ユーザーエンゲージメントを高める効果も期待できます。 - 音声検索
音声アシスタント(Googleアシスタント、Amazon Alexaなど)からの検索に対応するための施策。音声検索は、テキスト検索とは異なる特性を持つため、キーワード選定やコンテンツ制作において、音声検索に最適化された対策が必要です。
これらの新しい検索行動に対応することで、新たな顧客層の開拓や、さらなる集客効果が期待できます。
まとめ
本稿では、SEO対策で継続的に成果を出すための実践的な運用方法と、効果的なチーム・体制構築について解説しました。
SEO対策は、単に「やり方」を知るだけでなく、その後の運用と組織づくりが重要であり、最新トレンドにも常に目を光らせ、変化に柔軟に対応していく必要があります。本稿を参考に、長期的な視点でのSEO戦略を構築し、ビジネスの成長を加速させてください。
読了後のネクストアクション
本記事を参考に、貴社のSEO対策を成功に導くために、以下のステップで具体的な行動に移しましょう。
- 自社のSEO対策の現状を評価する
- 必要なスキルを持つ人材とチームを編成する
- 効果測定の仕組みを構築し、定期的にレポートを作成する
- 最新のSEOトレンドを常にキャッチアップする
- 長期的な視点でSEO戦略を策定し、継続的な改善を行う